天
忘れ得ぬ戦友の影秋の空
東京都稲城市 村田 文佳
地
砂利を踏む道なつかしき墓参かな
神奈川県横浜市 田阪 武夫
人
天井の龍と目の合う秋の寺
神奈川県逗子市 髙梨 優子
漱石の詠みし梵鐘秋時雨
神奈川県横須賀市 青木 香文
今朝の秋境内抜けて駅前へ
神奈川県逗子市 赤木 祐子
野仏のやさしいお顔秋夕日
神奈川県鎌倉市 阿部 史江
新蕎麦や小町の軒に朱の暖簾
神奈川県横浜市 井澤 信介
蜻蛉飛ぶ水平線や二つ山
兵庫県加古川市 いそ野 つる女
野仏の苔の衣に菊小紋
神奈川県横浜市 小泉 明彦
師の彫りし皿に名月煌々と
神奈川県大和市 小林 心
月の道踏みて帰りし鎌倉道
神奈川県横須賀市 斉藤 秀一
露座仏の愁眉の緩む秋日かな
東京都三鷹市 櫻庭 寛
爽やかやブロンズ像の肌に触れ
神奈川県横須賀市 鈴木 崇
天も地も紅葉ヶ谷に溶け込めり
神奈川県鎌倉市 千石 正子
秋の海寄す流木の遺骨めく
埼玉県川口市 髙梨 孝
文豪の墓前に煙る盆の花
神奈川県藤沢市 武 正義
残暑なお洪鐘のひびき山に透く
岐阜県岐阜市 南谷 陽平
江ノ電の汐風乗せて秋うらら
沖縄県島尻郡 南風の姫
秋の日や弁財天も顔を見せ
神奈川県藤沢市 西村 明宏
天仰ぐ父の面影長谷の月
東京都町田市 細木 博子
かまくらのだいぶつあおぐあきのくれ
北海道札幌市 村川 美津子
晩秋の夕空滲む武者の國
神奈川県横浜市 山下 重弥
秋の雨見上ぐる先の弁天堂
宮城県仙台市 山田 由紀子
すずしげな秋にだいぶつおがんだり
大阪府吹田市 伊藤 奏佑
覚園寺山門のおく赤とんぼ
神奈川県鎌倉市 大内 新
豊漁や空を泳ぐよいわし雲
神奈川県鎌倉市 熊谷 頼人
秋の朝長そではおり学校へ
神奈川県鎌倉市 小脇 沙門
仲間との残暑ふきとぶきずなの輪
群馬県伊勢崎市 斎藤 翔馬
どんぐりをリスがくわえる口いっぱい
神奈川県鎌倉市 西山 凱
参道はどこまで続く秋うらら
神奈川県鎌倉市 橋本 彩那
ひがん花水辺のほとりさいている
東京都北区 朴澤 望美
天高しひこうきくもがえがく空
神奈川県鎌倉市 堀田 和
江の島が影絵みたいな秋の夕
神奈川県鎌倉市 前原 知貴